地盤の種類と想定される災害を解説!住宅地に適した地盤とは?
私たちが生活する大地は、火山活動や地殻変動の影響を受けたり、雨風に削られた土砂が堆積したりしながら、長い時間をかけて形成されてきました。
そのため地盤は、形成された時代や構成する地質・地層により、地震時の揺れやすさや想定される災害が異なります。
そこで今回は、地盤の種類別に想定される災害についてご説明します。
目次
そもそも地盤とは?
地盤とは、住宅やビルなどの重量のある構造物を受け止めて、下から支える土地のことです。
家を建てる際、地盤には家の荷重に見合った強度が求められます。
なお、日本における地盤の種類は、大きく分けて「岩盤」「洪積層(こうせきそう)」「沖積層(ちゅうせきそう)」「人工地盤」の4つです。
それぞれ、地盤ができた時代や構成する岩石の種類が異なります。
4種類の地盤と、それぞれに想定される災害を知っておこう
地盤の種類から、地震が来た際の揺れやすさや、地盤沈下や液状化、地すべりなどの災害を想定することが可能です。
以下で地盤の種類別に、特徴や想定される災害についてご紹介します。
岩盤の特徴と想定される災害とは?
岩盤とは、火成岩や堆積岩、変成岩などで形成された地盤です。
- 火成岩 = 火山活動によりマグマや溶岩が冷えて固まってできた岩石
- 堆積岩 = 海や湖、河の砂や泥が積み重なり時間をかけて固まってできた岩石
- 変成岩 = 熱や圧力により変成してできた岩石
岩盤は、長い歴史の中で自然に生成された岩石の集合体と考えて良いでしょう。
岩盤には、約2,300万年前以降に形成された「軟岩」と、約2,300万年前以前に形成された「硬岩」があり、どちらも宅地として問題なく利用できる地盤です。
ただし、丘陵地の軟岩で大規模な宅地造成を行った場合、谷埋盛土で地盤の地すべりが起こる可能性があります。
また硬岩であっても、断層の破損している部分や、熱水で変質した部分、比較的柔らかい地盤を構成する部分では、スレーキング(乾燥、吸水による崩壊)や膨張により地盤が変形し、崖崩れや地すべりを起こす恐れがあります。
洪積層の特徴と想定される災害とは?
洪積層(こうせきそう)は、約250万~2万年前の間に形成された「礫層・砂層」、または火山灰が堆積してできた「ローム層」からなる硬質な地盤です。
洪積層は、宅地の地盤としては災害の心配はほとんどありません。
なお、台地の地盤が良いとされているのは、洪積層が台地を形成しているためです。
関東では武蔵野台地や下総台地などが洪積台地に該当し、これらの地盤には関東ローム層が堆積しており、火山灰も相まって粘土化した特殊な地層を形成しています。
沖積層の特徴と想定される災害とは?
沖積層(ちゅうせきそう)は、約2万年前から現在の間に土砂が堆積して形成された比較的新しい地層で、「礫(れき)層」「砂層」「粘土層」「腐食土層」に分けられます。
よく締まった礫層と砂層は宅地に適した地盤といえますが、ゆるい砂層の地盤で地下水位が高い場合、液状化が起こりやすくなります。
なお、粘土層と腐食土層は軟弱なため、宅地には向きません。
特に腐食土層は水分を多く含んでいるため、地盤沈下が起こりやすいといった特徴があります。
人工地盤の特徴と想定される災害とは?
人工地盤とは、盛土や埋め立てにより人工的に造成された地盤です。
長い時間をかけて自然に形成された地盤と比べて、人工地盤は災害が起こりやすいと言えます。
地震が来た際、丘陵地の盛土では地すべり、平地の盛土では地盤沈下や液状化の可能性があります。
また沿岸部の埋立地では、地盤沈下や液状化だけでなく、津波の被害を受ける可能性もあるのです。
おわりに
地盤は、形成された時代や地質・地層により、地震時の揺れやすさや想定される災害が異なります。
一般的に洪積層と呼ばれる地盤は硬質なため、宅地の利用に向いていると言えるでしょう。
一方、沖積層は低地が多く、地盤沈下や液状化のリスクを抱えています。
また人工地盤は、地盤沈下や液状化だけでなく、津波にも注意が必要です。
今回ご紹介した情報を参考に、生活している地盤の状態を知り、想定される災害に備えましょう。