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液状化現象

液状化現象とは

液状化現象は、地震が起きた時に地面が一時的に水と混ざり合って、どろどろの液体のようになってしまう現象です。地震の揺れによって、地面の中にある砂と水が混ざり合い、地面が弱くなってしまいます。

分かりやすく例えると、砂浜に水を含ませた時の状態に似ています。みなさんも砂浜で遊んだ時に、強く足踏みすると周りの砂が揺れて、水が上がってくる経験があるのではないでしょうか。これと同じように、地震の揺れによって地面の中の砂の間に水が入り込み、砂が浮いた状態になるのです。

もう一つ分かりやすい例えを紹介します。コップに水と砂を入れて強く振ると、砂が水に溶けたように見えます。これが液状化現象の小さな模型実験と言えます。地震の時も同じように、地面の中の砂が水に溶けたような状態になり、建物を支える力が弱くなってしまうのです。

液状化が起こるメカニズム

地面の中には、砂と砂の間に小さな隙間があり、その隙間に水がたまっています。普段は砂が互いに支え合って、しっかりとした地盤を作っています。この状態では、上に建物が建っていても安定して支えることができます。

しかし、大きな地震が発生すると状況が変わります。地震の揺れによって砂の粒が揺さぶられ、それまで保っていた砂同士のつながりが壊れていきます。すると、隙間にある水が砂の粒の間に入り込み、砂が水に浮かぶような状態になります。

この時、液状化が起こる順序は以下のようになります:

段階 地盤の状態
1. 地震前 砂の粒が互いに支え合い、隙間に水が存在
2. 揺れの開始 砂の粒が揺さぶられ、つながりが緩む
3. 液状化発生 水圧が上昇し、砂が水に浮いた状態になる
4. 地震後 水が抜け、砂が再び固まる

液状化が発生すると、地面が支える力が大きく低下します。そのため、建物が傾いたり、地下に埋まっている水道管が浮き上がったりする被害が起きます。また、地面からは砂混じりの水が噴き出すことがあり、これを「噴砂」と呼びます。

地震が終わると、徐々に水が抜けて砂は再び固まっていきますが、一度液状化が起きた場所は地盤が緩んでいるため、次の地震でも液状化が起きやすくなります。

液状化が起こりやすい場所・条件

液状化現象は、どこでも起こるわけではありません。特に注意が必要なのは、昔、海や川だった場所を埋め立てて作られた土地です。このような場所では、地面の中に水を含んだ緩い砂が多く存在するため、液状化が起こりやすくなっています。

特に液状化が起こりやすい場所には、次のような特徴があります。まず、海や河川の近くにある低地です。こうした場所は地下水位が高く、地面の中に水が多く含まれています。また、工業団地や住宅地を作るために埋め立てた土地も要注意です。昔の地図と現在の地図を比べると、そこが埋立地かどうかを確認することができます。

地面の中の土の種類も重要な条件です。細かい砂が多い地層では液状化が起こりやすく、粘土や岩盤では液状化は起こりにくいのです。特に、粒の大きさがよく揃った砂の層では、液状化の危険性が高まります。

地下水位も大きな影響を与えます。地下水位とは、地面の中で水が始まる深さのことです。地表面から水が始まる深さまでが10メートル以内の場所では、液状化の可能性が高くなります。特に地下水位が地表面から3メートル以内と浅い場所では、より一層の注意が必要です。

また、地面の固さも関係します。「N値」という地面の硬さを表す数値が10以下の緩い砂地盤では、液状化が起こりやすいことが分かっています。このN値は、地盤調査の際に重要な指標として使われています。

これらの条件が重なる地域として、東京湾や大阪湾の沿岸部、川沿いの低地などが挙げられます。こうした場所では、過去の地震でも液状化による被害が多く報告されています。

液状化による被害・影響

液状化現象が起きると、建物や道路などに深刻な被害が発生します。地面が支える力を失うことで、様々な問題が引き起こされるのです。

建物への影響は特に重大です。地面が液体のようになることで建物を支える力が弱まり、建物全体が傾いたり、沈み込んだりします。特に心配なのが、マンションなどの大きな建物です。基礎(建物の土台)が不均一に沈むことで、建物が大きく傾くことがあります。一度傾いた建物は、元に戻すのが難しく、建て直しが必要になることもあります。

道路や水道などの都市の基盤も大きな被害を受けます。地下に埋められた水道管やガス管は、周りの地面が液状化すると浮き上がってしまいます。これは、管の中が空洞なため、周りが液体になると浮力で上に押し上げられるためです。その結果、道路が盛り上がったり、水道管が破裂したりして、水道やガスが使えなくなってしまいます。

地面の表面にも目に見える変化が現れます。地面からは砂混じりの水が勢いよく噴き出し、これを「噴砂」と呼びます。噴砂が起きた場所には、砂や泥が厚く積もり、その後の片付けに大変な労力が必要になります。また、地面に大きな割れ目ができたり、地面が波打つように変形したりすることもあります。

さらに、液状化による被害は、私たちの生活にも大きな支障をきたします。道路が使えなくなることで、救急車や消防車が通れなくなったり、水道が止まって飲み水や生活用水が確保できなくなったりします。また、建物の修理や道路の復旧には多くの時間と費用がかかり、その間の生活に大きな影響が出ます。

このような液状化による被害を少なくするためには、事前に地盤を調べ、必要な対策を行うことが大切です。また、自分の住む地域が液状化の危険性が高いかどうかを、ハザードマップなどで確認しておくことも重要です。

液状化対策

液状化による被害を防ぐため、様々な対策方法が開発されています。対策は大きく分けて、建物を建てる前に行う方法と、すでに建っている建物に行う方法があります。

建物を建てる前の対策として最も確実なのは、地盤改良です。地面に特殊な薬液や固まる材料を注入して地盤を固めたり、砂を突き固めて地盤を強くしたりします。また、建物の基礎を支える杭を、固い地盤まで深く打ち込む方法もあります。これを「杭基礎」と呼び、地面が液状化しても建物が安定するように支えます。

地盤改良の主な方法には以下のようなものがあります:

工法名 特徴 適した場所
砂杭工法 地面に砂の杭を作り、水はけを良くする 住宅や中規模建築物
固化工法 セメントなどを混ぜて地盤を固める 大規模建築物の基礎
締固め工法 地面を強く突き固めて密度を高める 広い土地の改良

すでに建っている建物への対策も可能です。建物の周りから地面に向かって薬液を注入し、地盤を固める方法があります。また、建物の基礎を補強したり、建物の下に新しい基礎を追加したりする工法も開発されています。ただし、既存建物への対策は工事が難しく、費用も高くなりがちです。

一般の住宅では、建て替えの際に液状化対策を行うことが多いです。その場合、建物の基礎を頑丈にすることが基本です。具体的には、べた基礎(建物の床全体を厚いコンクリートで作る方法)や、小規模な杭基礎を採用することで、液状化の影響を減らすことができます。

対策工事の費用は、土地の広さや地盤の状態によって大きく変わります。一般的な住宅の場合、数十万円から数百万円程度の費用が必要になることがあります。ただし、液状化による被害を受けてからの修復費用と比べると、事前の対策費用の方が安くなることが多いです。

地盤調査をしっかり行い、土地の状況に合った適切な対策を選ぶことが重要です。また、自治体によっては液状化対策工事への補助金制度があるので、活用を検討するのもよいでしょう。

関連する専門用語の解説

液状化現象を理解する上で重要な専門用語について、分かりやすく説明します。これらの用語は、土地の安全性を判断する際の重要な指標として使われています。

N値とは

N値は地面の硬さを表す数値です。重さ63.5キログラムのおもりを75センチメートルの高さから落として、地面に30センチメートル打ち込むのに必要な回数を表します。例えば、N値が3の場合は3回の落下で30センチメートル進むことを意味し、地盤が柔らかいことを示します。逆にN値が50の場合は、地盤が非常に硬いことを表します。液状化の可能性がある地盤では、一般的にN値が10以下であることが多いです。

地盤の種類

地盤は大きく分けて次のような種類があります。岩盤は最も硬い地盤で、その上に砂や粘土などが積み重なっています。液状化に関係が深いのは砂質土です。砂質土は粒の大きさによって、細砂、中砂、粗砂に分類されます。特に細砂は液状化が起こりやすく注意が必要です。一方、粘土は水を含むと粘り気が出る土で、液状化は起こりにくい特徴があります。

盛土(人工的に土を盛って作った地盤)や埋立地(海や川を埋め立てて作った土地)は、自然の地盤と比べて緩みやすく、液状化の危険性が高くなります。

地下水位

地下水位は、地面の表面から地下水が始まる深さのことです。例えば、地下水位が2メートルの場合、地面を2メートル掘ると水が出てくることを意味します。液状化との関係では、地下水位が地表から浅い(おおむね10メートル以内)場所で液状化が起こりやすくなります。

特に地下水位が3メートル以内と浅い場所では、液状化の危険性が非常に高くなります。これは、地震の揺れで砂の粒が動きやすく、水と混ざりやすい状態にあるためです。地下水位は季節や天候によって変動することもあり、梅雨時期や長雨の後は地下水位が上昇して液状化の危険性が高まることがあります。

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