地盤改良工事の6つのメリットとは?既存住宅でも工事は可能なの?
「新築時に地盤改良工事をしなかったけれど、今後の地震に備えて地盤を強化したい」
「建てる時に杭を打ったのはいいけれど、深さが足りてない気がして不安が残る」
このようなお悩みをお持ちの方もいらっしゃるはずです。
この記事では、既に建っている住宅に対する地盤改良工事のメリットについてお伝えしていきます。
目次
今後の地盤沈下現象を抑えることができる
改良されていない地盤の中には、空気や水が入り込んでいるスキマが多く存在しています。
地盤の不均一な沈下は、震災もしくは家の重みによってそのスキマが埋まることにより発生します。
そこを地盤改良工事によりあらかじめ埋めておき、地盤の強度を上げることで、今後の地盤沈下を抑えることができるのです。
今後の液状化現象を抑えることができる
液状化現象とは、普段はバランスよく固まっている土の中の細かい砂や、比較的大きな砂、そのスキマにある水などが地震の衝撃で分離してしまうことです。
このバランスよく固まっている状態を、地盤改良工事によって固定することで、液状化の発生を抑えることができます。
地震による家の振動、傾きを抑えることができる
地盤はゆるければゆるいほど、地震による振動を増幅させてしまいます。
地盤改良工事を行うことで、上に建っている家の振動を減少させ傾きを抑えたり、倒壊する可能性を下げたりすることができます。
強風や交通振動などによる建物の揺れを抑えることができる
地中に空洞がある地盤の上に建っている建物は、とても不安定な状態だと言えます。
基礎の下の地盤が陥没してしまって、基礎が土に接していない不陸状態になっていると、強風や交通振動だけでも家が大きく揺れてしまいます。
地盤改良工事によって地盤を引き締めておくことで、家の揺れを抑えることができます。
地盤の資産価値を高める事ができる
近年の度重なる災害によって地盤に対する意識が高まってきており、新築時だけではなく建て替え時も地盤改良工事を行うケースが増えてきています。
一度改良工事を行っている地盤であれば、建て替え時でも改良済みの地盤として、そのまま基礎を作り始めることができます。
もし将来的に更地にして誰かに譲渡する場合でも、地盤改良済みであればその分高く評価されることでしょう。
住んでいる人の安心感を高めることができる
地盤改良工事を行っておくことで、地震でも家が傾きにくくなり、生活を守る減災につながります。
地盤に不安を抱えて住み続けることは避けるべきです。
地盤改良工事を行って安全・安心を確保することで、気持ちが軽くなり、快適な日常を送ることが出来るのなら、コストと効果のバランスはとても良いと言えるのではないでしょうか。
更地だけでなく既に建っている家の下の地盤改良工事も可能
更地に対する地盤改良工事には複数の工法があり、
の大きく2つに分けることができます。
地盤改良は以前、家が建っていない更地で行うものとされていました。
現在では技術の進歩により、一部の薬液注入工法において既存の建物の下部地盤を改良することも可能となっています。
【参考記事】 薬液注入で家の傾きを直す工法(グランドコンパクション工法)
このページの用語解説
液状化現象(えきじょうかげんしょう)とは
砂と水が多い地盤が揺れると発生する。水と砂が分離して、水が噴き出してしまう現象。地盤沈下を引き起こす。
地盤改良工事(じばんかいりょうこうじ)とは
地盤を強化する工事、もしくは建物の傾きを抑制する工事の総称。地盤沈下を抑制することが目的。家の傾きを修正するという意味合いは含まない。薬液注入工法、表層改良工法、杭工法などがある。
地盤沈下(じばんちんか)とは
土の中の隙間が埋まって表層の土地が陥没すること。地震による液状化でも発生する。
柱状改良(ちゅうじょうかいりょう)とは
更地の状態で土を縦に筒のようにくり貫き、セメントなどを流し込むことによって、杭のように建物を支える工法のこと。
鋼管杭(こうかんぐい)とは
アンダーピニング工事の際よく使われる、鍛えた鉄で作られた杭のこと。ビル、マンション等の重量がある建物を支えるのは鋼管杭が適している。
薬液注入工法(やくえきちゅうにゅうこうほう)とは
液体を基礎下の土の中に注入して、その注入圧によって地盤ごと基礎を持ち上げて家の傾きを直す工法。傾きの修正だけでなく地盤改良も兼ねることができる。詳しくは「家の傾き修正工法のそれぞれの特徴と予算の目安」へ。