地盤沈下すると配管が詰まる?排水の逆勾配は被害甚大!
あまり遭遇したくないものの、起きてしまうのが「排水管が詰まってしまった」、「水道管から水漏れしている」などの配管トラブルです。
特に、台風や大雨のときに発生しがちな、排水(汚水)の逆流は家屋内の被害が甚大なため、水はけの悪さに気づいた場合は少しでも早く原因を突き止めましょう。
パイプが詰まってしまう、排水の流れが悪いなどの配管トラブルにはさまざまな原因があり、そのひとつに「地盤沈下」も含まれています。
地盤沈下と配管、一見なんの関係もないように思えますが、そんなことはありません。
家を建てる場合、配管は外ではなく家の下であったりガレージの下であったりと、地面の下にあることがほとんどだからです。
「何度見てもらってもすぐ水が詰まってしまう」なんて時は、もしかしたら地盤沈下による排水管の逆勾配が原因かもしれません。
目次
地盤沈下で配管トラブルが起きる理由とは?
なぜ地盤沈下で配管トラブルが起きてしまうのか、その理由について解説しましょう。
地盤沈下とは一部の範囲において表層の土が陥没し、その周辺より低くなってしまう現象のことを指します。
つまり、平らだった地面に高低差ができ、埋まっている配管に下向きの力が加わります。
地面と平行に敷かれているパイプであれば影響は少なく済むのですが、地中から地上へとつながっている縦向きのパイプの場合は話が変わってきます。
地盤沈下によって下向きの力が加わり、パイプのつなぎ目(ジョイント)が破損してしまったり、ヒビが入ったりしてしまうのです。
また、地面と平行であれば影響は少ないと書きましたが、こちらも絶対に大丈夫というわけではありません。
局所的な地盤沈下の場合、沈下した範囲にある配管にのみ下向きの力が加わます。
配管の一部にのみ圧力がかかるため、ゆがみや破損、逆勾配が発生してしまうのです。
大規模な地盤沈下が発生した場合は、水道管や排水管はもちろんのこと、電話線や光ケーブルにも悪影響が懸念されます。
配管・パイプに異常があるとどうなる?
では、配管に何かしらの異常があった場合、どのようなトラブルが起こるのでしょうか。
一番わかりやすいのは水回りのトラブルです。
トイレが詰まって流れない、キッチンの排水が異常に遅い、逆に水が溢れてしまったといったものです。
特にトイレに関するトラブルは非常にストレスが溜まりますから、絶対に避けたいもののひとつですよね。
2階に水回りがある家の場合、上の階で水漏れが起こり天井から水が……なんてことも。
気づかないうちに給水管の亀裂がじわじわと広がり、少しずつ水道料金が上がっているかもしれません。
地盤沈下だけが配管トラブルの原因ではない
給水管・排水管などにトラブルが起きている場合でも「配管トラブルは地盤沈下のせい」と決めつけるのは早計です。
明らかに庭やガレージに段差が出来ているならば、地盤沈下が配管トラブルを引き起こしていると考えられます。
ただ、地盤沈下だけではなく、以下のような場合にも配管トラブルは発生します。
- 経年劣化による破損で水漏れしている
- キッチンからの油汚れが蓄積して流れが悪くなる
- もともと勾配が取れていないため流れが悪い
- 水に溶けないティッシュを流してしまった
- 浴室の排水に髪の毛やゴミなどの異物が詰まっている
パイプが金属製の場合、経年により錆びてしまうと水漏れを起こします。
この場合は塩ビ樹脂のパイプに交換することで解決できます。
これらの他にも、配管そのものではなく部品(パッキンやナット等)の劣化が配管トラブルの原因という場合もあるため注意しましょう。
家が傾いていると排水管のトラブルが起きやすい
給水管には常に水圧がかかっているため、勾配による悪影響はほとんどありません。
一方、排水管は勾配が取れていないと流れが悪くなったり、詰まったりしてしまいます。
地盤が弱い土地では、たとえ家を建てる時に地盤改良を行っても、長い年月を経て少しずつ地盤沈下することがあります。
もしかしたら気づかないうちに家が傾いていて、排水の勾配がとれていない、もしくは逆勾配になっているかもしれません。
排水管が逆勾配になっている場合、水圧が加わった時にしか汚水が流れていかないため、トイレや浴室などの水はけが悪くなり、時には逆流してしまいます。
地盤沈下を起こしているか(家が傾いているか)確認する方法は?
とはいえ、はっきりわかるほどの地盤沈下が今起きているというご家庭はそう多くないでしょう。
そんな時は何かしらの方法で、家が傾いているかを確認する必要があります。
地盤沈下を起こしているのか確認する方法はいくつかありますが、お手軽なのはスマートフォンのアプリです。
アプリの指示に従ってスマートフォンを操作するだけで、家の中に傾きが発生しているか簡単に調べられます。
【参考記事】 スマホで家の傾きをチェック!簡単に使える『傾斜測定アプリ』6選
仮に家が地盤沈下を起こしていた場合、どれくらいの沈下が起きているかも重要です。
なお、傾きがまったくなければOK、そうでなければ地盤沈下というわけではなく、新築では「3/1,000」、中古住宅では「6/1,000」未満の傾斜であれは許容範囲であるとされています。
この数字は「1,000mmあたり(3または6)の傾斜」という意味で、新築では3mm、中古では6mmとなります。
部屋の端と、そこから1メートル進んだ地点との高さの違いが3mm(または6mm)以内であれば、仮に傾いていたとしても健康には影響がないと判断されているのです。
そして、家の傾きがこの範囲内であれば配管トラブルの原因とは考えにくいため、別の原因を探してみましょう。
【参考記事】 家の傾きの許容範囲は何度?調べ方から修理費用まで総まとめ
地盤沈下が原因の配管トラブルかどうか、プロに判断してもらうべき
もし許容範囲を超えて家が傾いている場合、地盤沈下によって配管に悪影響が出ていると判断できます。
仮に地盤沈下を起こしていたとしても、どこのパイプが傷ついているかを自分で確認するのは困難です。
まずは家の傾き修理業者に相談し、傾きの度合いや傾向の調査を依頼しましょう。
家の傾きやゆがみを正確に確認することで、配管の破損箇所がある程度推測できます。
情報が集まった後に水道屋さんを呼び、排水管カメラや内視鏡カメラ(ファイバースコープ)を使用してパイプの状態(ゆがみやひび割れ等)を確認してもらいましょう。
異常が見つかったらまず水道局に相談を
配管トラブルを解消する工事を検討する場合は、水道局に問い合わせて「水道局指定工事店」を紹介してもらうのが無難です。
工事費用はトラブルの原因や解決方法によって大きく変わるため、一概にいくらとは言えません。
簡単な部品交換で解消出来るのであれば1万円以内に収まりますが、パイプが曲がっていて大規模に交換しなければならないなど、工事の規模が大きくなると10万円を超えることもあります。
見積もりは無料の業者が多いので、複数の業者に見積もりを依頼し比較して決めると良いでしょう。
配管トラブルの原因は経年劣化や地盤沈下などさまざま
給水管や排水管は地中に埋まっているため、破損に長期間気づかず、知らぬ間に被害が拡大しがちです。
水の出が悪い、水はけが悪い、水道料金が高くなってきた、地盤沈下が進行している気がする等、複数の違和感がある場合は少しでも早めに調査を依頼しましょう。
配管トラブルの原因は、施工不良・パイプの劣化・部品の破損・地盤沈下など複数あり、素人目では判断が難しいのではないでしょうか。
水道修理業者、家の傾き修理業者、リフォーム業者などの複数の専門家から意見を聞き、トラブルの原因を見つけ出し、根本的に解決することが一番大切です。
よくあるご質問
- 家の傾きは我慢していますが配管が心配です。配管を先に補強しておいた方が良いですか?
- 配管を補強していても家の傾きが進行すればまた破損してしまいます。家の傾き修正工事を行う予定があるのでしたら同時に施工するほうが経済的です。
- 水回りが一番大きく傾いています。水漏れが原因で地盤沈下しているのでしょうか?
- 水分量が多い土は収縮しやすく、家が傾く原因になることが多いと言えます。家の傾き修正業者に調査を依頼して、原因を確認してもらいましょう。