傾いた家は売却できる?直してから売るべき?
家が傾いていると、その角度によりますが、体の不調の原因になったり、地震の際に液状化現象が起きる可能性があるといった懸念点が出てくることもあるでしょう。
そのため、住んでいる家から引っ越そうと考える方もいるでしょう。
となると、これまで住んでいる「傾いている家」を売却するという選択も出てきますが、そこで気になるのが「傾きのある家は売却できるの?」という点です。
傾いた家は売却出来るのか?売却する際の注意点は?など、今あなたが傾いた家に住んでいて、さらにそれを売却しようと考えているなら、事前に知っておきたい重要なポイントを解説します。
目次
傾いた家のままでも売却することは可能!その理由は?
まず知っておくべきは「傾いた家のままでも売却することは可能」ということです。
傾きがあることがわかっている家を欲しがる人なんているの?と思われるかもしれませんが、100%ない、とは言い切れません。
いくつかの理由が考えられますが、そのひとつは「その土地が必要」な場合です。
上の家は不要だけども、下の土地、いわゆる立地に魅力を感じているので、家が建ったままであっても取り壊すので問題ないと購入するケースがあります。
他にも、ちょっと特殊と言えるかもしれませんが「傾いていても問題がない」場合があります。
傾きをあまり感じないので問題ないと考えたり、あるいは傾いていても何かしらの理由でその家が気に入ったなどで、そのまま購入することもあるようです。
傾いたままで売る場合、デメリットもあるので注意が必要
傾きのある家でも売却できる可能性はありますが、デメリットもありますので注意が必要です。
まずは「売却価格が安くなる」こと。
傾きのある家はない家に比べると欠陥があると言えるため、その分価格が安くなります。
具体的には傾きを修繕するための費用分(傾きによって違いますが200万円~500万円ほど)は安くなる、あるいは価格を交渉される可能性は高いと言えるでしょう。
また、傾きがあるとわかっている家を購入したい!と思う人は少ないため、売れるまでに時間がかかるのもデメリットのひとつです。
不動産業者に売ってしまうのも手ですが、その場合は相場よりもぐっと安くなってしまいます。
「ずっと売れないまま家を持っておくのは嫌だ」「できるだけ早く家を売ってしまいたい」という方は、少々安めでも売ってしまってもいいかもしれません。
「そのまま売る」以外に選択できる、2つの方法とは?
「傾きがある家をそのままにして売る」以外にも、2つの方法を選択できます。
その方法とは
- 家の傾きを修繕してから売る
- 家を壊して更地にして売る
の2つです。
当然ながら、それぞれの方法にはメリットもあれど、デメリットもあります。
それぞれの方法を詳しく見ていきましょう。
売却価格が上がる!傾きの補修工事をしてから売る際のメリット
1つ目は、家の傾きを補修してから売る方法です。
家の傾きが改善された状態で売却するため、売却価格は家をそのままにしておくよりも高くなるというメリットがあります。
また、「既存住宅売買瑕疵(かし)保険」という、売った後に何かしらの欠陥、それこそ家の傾きなどがあった場合、売主側がそれを補修しなければなりませんが、そのための費用を賄ってくれる保険に加入できます。
加入料は10万円~かかりますが、「家をきちんと検査して直した証明」にもなりますし、売り手として有利になれるのもメリットです。
工事費で損をする可能性も!?補修工事をしてから売る際のデメリット
続いて、補修工事を行って売却する際のデメリットです。
まずは「工事費」です。どのくらい家が傾いているかでも違いますが、100万円単位の費用がかかることも珍しくありません。
さらに、家が傾いているだけならまだいいのですが、実は地盤が弱いせいで家が傾いていた場合、地盤から改良しないとまた家が傾いてしまうため、そちらの改良も行わなければならない可能性があります。
また、最大のデメリットと言えることは、いくらしっかりと家の傾きを直したとしても、売却価格が割に合わず赤字になってしまことが考えられることかと思います。
更地にして売る際のメリット・デメリット
2つ目の方法は、建てた家を壊してしまい、更地で売るものです。
この方法のメリットは、傾いた家を壊してしまうことで「土地を売る」という形になり、顧客の層が広がることです。
しかしデメリットとして、解体のための工事費用がかかる、地盤が軟弱で改良が必要な場合には改良のための費用がかかる可能性がある、といったことが挙げられます。
傾きを隠して売ると賠償責任に!?「瑕疵担保責任」とは
「傾いた家だからなかなか売れないのであれば、傾いていることを隠して売ればいいのでは?」なんて考えてしまいますが、それは絶対にダメなことです。
なぜなら、傾いていることを隠して売ると「瑕疵担保責任」に問われる可能性があるからです。
「瑕疵」とは、目に見えない欠陥のことを指し、家の傾きだけでなく水回りやシロアリの問題など、ぱっと見ではわからない、あるいは住んですぐにはわからないことが該当します。
このような問題が発生した場合、買い主は売主に対して契約解除や損害賠償を請求することが出来る、それが「瑕疵担保責任」という法律です。
売主によって期間が違う!個人なら契約で短期にすることも可能
買い主が売主に対して責任を追求できる期間は民法では「瑕疵を発見してから1年間」としています。
ですが、これは売主が個人であるか、それとも業者であるかで大きく変わります。
売主が個人の場合、契約者の間でその期間を変更することが可能とされており、例えば「この家は傾きがあるから安く売るけど、その代わり責任の期間は3カ月ね」という条件にできます。
もちろん、買い主もそれに同意することが必要です。
対して、売主が不動産会社や建設業者である場合「宅地建物取引業法」という法律により個人の売主のように期間を短くすることはできず、「物件引渡しの時より2年以上」でないといけない、と定められています。
ですので、今回の話とは立場が逆にはなってしまいますが、もし中古で住宅を購入し、半年ほどその家に住んで「家が傾いているかも!?」となったら、業者から家を購入していれば「瑕疵担保責任」を追求出来るというわけです。
どれくらいの傾きで瑕疵になるのか、明確な基準はなし
家の傾きはどれくらいで瑕疵になるのか、実は明確な基準はありません。
「住宅の品質確保の促進に関する法律」では、傾きが6/1,000以上の場合に瑕疵の可能性が高いという基準です。
しかし、傾きによって起こるその他の被害(壁にヒビが入るなど)によっては、それよりも少ない角度でも瑕疵として認められる判例も出ているため、傾きの角度だけではなく、その影響で起こる被害も含めた複合的なもので瑕疵と判断されると考えておいたほうがいいでしょう。
傾いた家は売れるが、いろいろとややこしい。業者に依頼が早いかも
傾きのある家を売ることは可能ですが、価格がどうしても低くなります。
また、リフォームをして売る、家を解体して売るという方法もありますが、いろいろとややこしい部分があるのも事実です。
「家を売ったのに、前の家のことでトラブルになるのは嫌だ」という方や、「面倒だから全部プロに丸投げしたい…」という方は、多少安い価格だとしても、不動産業者に引き取ってもらうのが一番早いかもしれませんね。