パチンコ玉が転がったら家は傾いてる?傾きを調べる方法は?
「ただ床にビー玉を置いただけで転がるので、家に傾きがあることに気がついた」といった内容の話はとても有名です。
しかし、「家にビー玉なんてない!でもパチンコ玉ならある!」というとき。
ビー玉じゃないと家の傾きは判断できない?パチンコ玉でも家の傾きがあるかわかるかな?と疑問に思うかもしれません。
そこで、今回この記事では「パチンコ玉でもビー玉と同じように家の傾きをはかれるのか」、さらに「パチンコ玉が転がった場合、家が傾いている欠陥住宅といえるのか」といった疑問に答えます!
目次
パチンコ玉もビー玉と同様に、傾きの完全な把握にはならない!
「パチンコ玉ではうまく傾きを判別できない?ビー玉じゃないとダメ?」という疑問には、そんなことはないと言えます。
転がすものはビー玉でなくとも、パチンコ玉であっても、極端に言ってゴルフボールであっても構いません。
重要なことは「それらが転がるからといって、その家の傾きが許容範囲外、つまり欠陥住宅といえるわけではない」ということなんです。
傾きの把握にならない理由1:転がすものの個体差
パチンコ玉に限らず、床を転がったからといって傾きの把握にならない理由の1つ目が「転がすものの質の差」です。
一見、同じパチンコ玉であっても、その2つが完全に同じ重さ、同じ大きさであるとは限りません。
言うなれば「個体差」があるため、「こっちの玉なら転がるけど、こっちの玉だと別に転がらない」といった現象が起きることもあります。
傾きの把握にならない理由2:材質の差
また、転がすものの材質によっても「転がりやすさ」は変わります。
例えばスーパーボールは手触りがサラッとしているというよりはくっつきやすい材質ですから、「パチンコ玉なら転がるけど、スーパーボールだと床にくっついて転がらない」という状況も生まれます。
あとは、パチンコ玉やビー玉に比べて重さが軽い「ピンポン玉」は、傾きが非常に少なくても転がりやすいので、転がすものの材質や重さによって結果が大きく変わってしまうと言えますね。
傾きの把握にならない理由3:転がす床の差
転がる玉の材質だけではなく、転がす床でも差が出てしまいます。
摩擦係数が低い(滑りやすい)床ですと、わずかな傾きでもパチンコ玉が転がる可能性が出てきますが、逆にラグやカーペットといった、摩擦係数が高い(滑りにくい)床の上を転がそうとしても、全然転がらないかもしれません。
ただ、本来であれば滑りにくいところにパチンコ玉を置いたのに、ものともせず転がっていく場合は家に傾きがある可能性が高いと考えていいでしょう。
国土交通省が定める基準以下でも転がるケースがある
また、「パチンコ玉が転がったから家に傾きがある!」と断言できない大きな理由として、仮にパチンコ玉が転がったとしても、それが国土交通省が「住宅品質確保促進法(品確法)」にて定める基準以下の傾きであれば「問題ない」とされるからです。
その基準の数値とは、新築の住宅であれば「3/1000以内」、中古住宅であれば「6/1000以内」です。
少々分かりづらいですが、例えば壁からスタートし、1メートル離れたところに傾きがあったとしても、新築住宅の場合その差が「3ミリ」以内であればそれは問題ない(欠陥ではない)ということです。
ただ、これまで傾きの把握にならない理由としてお伝えした通り、床の材質やパチンコ玉の個体差などにより、上記の基準以内、例えば傾きが「2/1000」であったとしても転がってしまうこともあります。
傾きがあるということは事実ですが、転がったからといってイコール欠陥住宅とは判断できないわけですね。
以上から、パチンコ玉が転がるかどうかをチェックするのは、家の傾きを調べる上であまり有効な手段とは言えない、ということがわかります。
パチンコ玉より正確に傾きを調べる方法は?
それでは、パチンコ玉を床に置いて転がるか調べるよりももう少し正確に傾きを調べる方法はあるのでしょうか。
いろいろと考えられる方法はありますが、いくつかご紹介したいと思います。
「家の傾きがあるか、角度でチェックしたい」という方は、ホームセンターで販売されている「水平器」や、家の傾きを調べられるスマートフォンアプリの利用がおすすめです。
スマートフォンアプリは無料のものもありますので、まずは無料アプリを使ってみて、その後有料のアプリや水平器の購入を考えてもいいでしょう。
ただし、どちらもあくまで個人用のものなので、パチンコ玉やビー玉を転がすよりも正確ではあるものの、プロに調査を依頼した場合に比べるとやはりその精度は落ちてしまいます。
また、器具やアプリを使わずに家の傾きをチェックする方法もあります。
まずは「家の基礎(コンクリート部分)にヒビが入っているか」です。
単純に基礎部分が劣化したためヒビが入っている可能性もありますが、家の傾きによって他の部分よりも重さがかかってしまったためにヒビが入ってしまったとも考えられます。
同様に、壁にヒビが入っている場合も傾いている可能性がありますから要注意です。
続いて、天井や柱の「角」をチェックします。
本来は天井と柱や壁が接する部分は隙間がありませんので、目視で特に違和感がなければ問題ないでしょう。
しかし、例えば天井と壁の間に隙間ができている、柱の角の部分が浮いているといった現象が見られる場合には傾きがあるかもしれません。
それ以外に器具を使わずに家の傾きを判断する方法として「窓や扉などのたてつけ」があります。
例えば一部の方向の窓だけ、他の窓に比べて閉めづらい、逆に閉めたのにすぐに開いてしまうといった場合は、家が傾いている可能性が高いです。
扉も同様で、ドアを閉めたはずなのになぜか開いてしまう、逆にとても閉めづらい……と、本来はスムーズに開閉できるものが、家に傾きがあるせいで、うまく開閉できなくなってしまうことがあります。
パチンコ玉を転がすよりも、このような目で見えるものや暮らしていて違和感を覚える部分があるかをチェックするほうが、家の傾きについてはより正しい判断ができるかもしれません。
正しく家の傾きを判断するには、やっぱりプロの調査が必須
家の傾きをチェックする方法はいろいろとありますが、パチンコ玉を転がすだけで「家の傾きがある」と正確に判断できるわけではありません。
「自分の家の傾きはどのくらいなのか(工事が必要なレベルなのか)」「家の傾きの原因を知りたい」という方は、やはりプロに調査を依頼すべきでしょう。
ここまでご紹介してきた方法は、「家に傾きがあるかどうか」あたりまでは判別が可能ではあるものの、
- どの方向に傾いているのか
- 何が原因で傾いているのか
がわからないからです。
まだ方向は自分で判断できたとしても、家の傾きの原因がわからない限り、今後さらに傾きが悪化する可能性もあります。
家の傾きの原因は
- 不同沈下(地盤の一部が沈んでしまうこと)
- 基礎工事の欠陥
- 自宅周りの環境の変化(近くでマンションやビルなど大きい建物の建設が行われる)
といったものが考えられますが、素人が簡単に判断できるものではありません。
無料で調査が可能な専門業者も多いので、家の傾きが気になる方は一度依頼してみてはいかがでしょうか。