【液状化対策】覚えておきたい地盤の液状化を防ぐ8つの方法
大地震が発生すると、私たちが生活している住宅街でも被害が発生する可能性があります。
その中でも、液状化現象による地盤沈下は、建造物やインフラに大きな被害をもたらすことが知られています。
被災地で報道されるたびに、私たちは「もし自分たちが同じような状況になったら……」と不安を抱くことがあるかもしれません。
しかし、そうした不安を抱いているだけでは何も解決しません。
自分たちが住む地域でも、液状化による地盤沈下のリスクがあることを知り、それに備えることが必要です。
この記事では、液状化現象による地盤沈下のリスクと、その被害について詳しく解説し、どのような対策を取ればよいかを考えます。
液状化について不安を感じている方、今一度地震対策を見直したい方は必見です。
そもそも液状化現象とは?
液状化現象とは、大地震の揺れで地面の土がゆるんで、水のように流れる状態になることを言います。
土は揺れたときに、通常は固く保ちますが、地震の揺れが大きくなると土が揺れ動いて細かくなり、その中に含まれる水が上に浮き上がってきます。
砂と水が多い地盤で特に発生しやすく、砂と水が分離して、噴水のように水が噴き出してしまうこともあるのです。
すると、土や砂の間にあった水が絞り出されて空洞になり、地盤が不安定になってしまいます。
これが液状化現象です。
液状化現象が発生した不安定な地盤の上に建物や道路、橋などがある場合は、これらの重量を支えきれず地盤沈下を引き起こします。
たとえば、雨上がりの公園で泥の中を歩いたことがあるでしょうか。
土の中に含まれる水分が多いと、足が泥にハマってしまい、歩きにくくなります。
地震の揺れによって、土がこのように水分を含んだ状態になるのです。
地盤が軟弱な地域では液状化対策として、地盤を強くするための工事が必要です。
液状化現象による地盤沈下に備える
大地震が発生すると地盤は大きく揺らされ、液状化現象を引き起こす場合があります。
液状化が起こると建造物の一部または全体が損壊するだけでなく、液状化に伴う地盤沈下によりガスや水道管が破損するという二次被害も発生。
また、高潮や大雨に対しても脆弱になるため、被害はさらに拡大します。
住宅地で液状化現象が起きた場合、家の重量を支えきれず地盤が沈下します。
建物が均等に沈下することはまれで、ほぼ例外なく不同沈下(家の傾き)を引き起こしてしまうのです。
個人差はありますが、人は少しの傾斜でも健康を損なってしまうので被害は深刻と言えるでしょう。
【参考記事】 家の傾きはどのような健康被害を引き起こすのか?
このように、いったん液状化が起こると被害は非常に大きく、事前の液状化対策は有意義だと判断できます。
液状化を防ぐ8つの方法とは?
地盤の液状化を防ぐ方法を8つご紹介します。
- 地盤の転圧を行い、土の密度と強度を高くする
- 比較的軽い家を建てる
- 建物の重さのバランスを考えて設計する
- 杭を支持層まで打ち建物を支える
- 地盤改良して地盤内の水分量を減らす
- 地盤改良して地震による地盤の振動を抑え、液状化させにくくする
- 地震が起きる前にあらかじめ地盤内の水を抜いておく(地下水位低下法)
- 地中壁を作成して土地を囲い、地盤の揺れを抑制する(格子状改良工法)
地盤の転圧を行い、土の密度と強度を高くする
転圧は更地でしかできないので、建物を建てる前に行います。
重機を使ってしっかりと踏み固めることで土の密度が高まり、地盤の強度が向上します。
地面が安定するため、天気や環境の変化による侵食を減らすことができるのです。
盛り土をしている場合は念入りに行う必要があります。
注意点として、転圧の効果があるのは地表面から1メートル程度の深さまでと限定的であることは知っておきましょう。
比較的軽い家を建てる
大地震により地盤が大きく揺れた場合、上に乗っている建物が重ければ重いほど、地盤内の水が大量に絞り出され、大規模に液状化します。
逆に建物が軽ければ流出する水が少なく済む、もしくは液状化しない可能性もあります。
建物の重さのバランスを考えて設計する
地盤の一部に負荷がかかるより均等であったほうが、液状化の発生確率は低くなります。
たとえ液状化により地盤が沈下したとしても、建物が傾かずに均等に沈下するのであれば甚大な被害は防げます。
もちろん重度の沈下で埋設管が破損した場合には修復が必要です。
片側にのみ2階がある建物が液状化の被害にあった場合、重量がある方向に大きく傾いてしまいます。
杭を支持層まで打ち建物を支える
軽い家と同じく、地盤にかかる負担が少なくなると液状化の程度は小さくなります。
支持層まで届いていない柱状改良杭であっても、地盤の負担は低減しますので効果はあります。
建物を建てた後であっても、制振アンダーピニング工法を用いて支持層まで杭を打ちこむことで、地盤の負荷を下げて液状化現象を抑制できます。
【参考記事】 ジャッキアップで家の傾きを直す工法(制振アンダーピニング工法)
地盤改良して地盤内の水分量を減らす
薬液注入工法による地盤改良工事を行うことにより、水の入り込んでいる隙間をセメントに置き換えてしまう方法です。
地盤内の水分量を減らしつつ、それぞれの土の粒子が動きにくくなりますから、液状化の危険性は大幅に低下します。
地盤改良して地震による地盤の振動を抑え、液状化させにくくする
地盤に振動を与えても、それぞれの土と水が分離しなければ、液状化は抑制できます。
薬液注入工法か表層改良工法による地盤改良工事が該当します。
地震が起きる前にあらかじめ地盤内の水を抜いておく(地下水位低下法)
地下水位低下法は行政でも採用されていて効果的な工法です。
しかし、水を抜いた際に地盤沈下が起こりやすく、ポンプの維持管理費の負担も課題となっています。
地中壁を作成して土地を囲い、地盤の揺れを抑制する(格子状改良工法)
格子状改良工法とは地盤内に地中壁を作り、狭い範囲で囲い込んでしまう工法です。
地盤の揺れる余地を少なくすることで、大規模な液状化現象を抑制します。
地盤の液状化を防ぐ方法のまとめ
地盤の液状化を防ぐ方法は、
- 地盤の転圧を行い、土の密度と強度を高くする
- 比較的軽い家を建てる
- 杭を支持層まで打ち建物を支える
- 建物の重さのバランスを考えて設計する
- 地盤改良して地盤内の水分量を減らす
- 地盤改良して地震による地盤の振動を抑え、液状化させにくくする
- 地震が起きる前にあらかじめ地盤内の水を抜いておく(地下水位低下法)
- 地中壁を作成して土地を囲い、地盤の揺れを抑制する(格子状改良工法)
以上の8つの方法があります。
これらの内の1つだけでなく複数の方法を組み合わせると、より効果的に液状化を防ぐことができるでしょう。
レフトハウジングでは既存住宅の液状化対策として、制振アンダーピニング工法を用いて支持層までコンクリート杭を打ちこむ工事を行います。
支持層で建物を支えて表層地盤の負荷を下げ、地震による液状化現象だけでなく家の傾きも抑制します。
【参考記事】 アンダーピニング工法で家の傾きを修理!費用・メリット・デメリットを解説
このページの用語解説
液状化現象(えきじょうかげんしょう)とは
砂と水が多い地盤が揺れると発生する。水と砂が分離して、水が噴き出してしまう現象。地盤沈下を引き起こす。
更地(さらち)とは
建物が建っていない空き地のことを指すのが一般的。法律上だといろいろ条件が付く単語である。
地盤沈下(じばんちんか)とは
土の中の隙間が埋まって表層の土地が陥没すること。地震による液状化でも発生する。
地盤改良工事(じばんかいりょうこうじ)とは
地盤を強化する工事もしくは建物の傾きを抑制する工事の総称。地盤沈下を抑制することが目的。家の傾きを修正するという意味合いは含まない。薬液注入工法、表層改良工法、杭工法などがある。
柱状改良(ちゅうじょうかいりょう)とは
更地の状態で土を縦に筒のようにくり貫き、セメントなどを流し込むことによって、杭のように建物を支える工法のこと。
表層改良(ひょうそうかいりょう)とは
地表の 1~ 2メートルの深さまでの地盤を強化する工事のこと。重機で掘り出して、土とセメントを混ぜたあとローラーなどで踏み固める手順が一般的。
盛り土(もりつち・もりど)とは
斜面の土地で、低い部分に土を入れて平坦な地面を作ること。比較的軟弱な地盤になる。
薬液注入工法(やくえきちゅうにゅうこうほう)とは
液体を基礎下の土の中に注入して、その注入圧によって地盤ごと基礎を持ち上げて家の傾きを直す工法。傾きの修正だけでなく地盤改良も兼ねることができる。詳しくは「家の傾き修正工事の費用や予算は?レフトハウジングなら低価格・高品質」へ。
よくあるご質問
- 地盤の液状化を防ぐ方法を教えてください。
- 液状化対策の方法をこの記事で8つご紹介しています。これらの内の1つだけでなく複数の方法を組み合わせることで、より効果的に液状化を防ぐことができます。
- 液状化対策をなにもせずに家を建てました。既存住宅でも可能な対策はありますか?
- 既存住宅でも可能な液状化対策工事もこの記事で複数ご紹介しています。地震が起きる前に、支持層まで杭を打ち建物を支える工事がもっとも現実的です。