掘削とは
掘削は、地面を掘って土を取り除く作業のことです。建物の基礎を作ったり、地下室を作ったり、道路や水道管を通したりするために行います。掘削は建設工事の最初の重要な工程であり、工事全体の成否に大きく影響します。
地面を掘る深さは工事の目的によって様々です。住宅の基礎であれば1~2メートル程度、高層ビルの場合は数十メートルに及ぶこともあります。また、掘る場所の地盤の状態や周辺の環境によって、適切な工法を選ぶ必要があります。
掘削の種類
分類 | 種類 | 特徴と用途 |
---|---|---|
規模による分類 | 大規模掘削 | 地下街や地下駐車場の建設。深さ10m以上 |
規模による分類 | 中規模掘削 | 中層ビルの基礎工事。深さ3~10m程度 |
規模による分類 | 小規模掘削 | 住宅の基礎工事。深さ3m未満 |
工法による分類 | 開削工法 | 地表から直接掘る方法。一般的な工法 |
工法による分類 | 山留め工法 | 壁を立てながら掘る方法。崩壊防止に有効 |
掘削の工法
掘削工法は大きく分けて以下の種類があります:
- 開削工法は、地表から直接掘り下げていく最も一般的な方法です。掘削面を段状に作ることで安定性を確保します。山留め工法は、鋼材で作った壁で土を押さえながら掘り進める方法で、狭い場所や深い掘削で用います。特殊工法には、薬液で地盤を固めてから掘る方法や、凍結させてから掘る方法などがあり、地下水が多い場所などで使用します。
掘削時の安全対策
掘削工事では安全対策が最も重要です。深い穴を掘ると周りの土が崩れやすくなるため、適切な角度(勾配)をつけたり、土留めの壁を設置したりします。特に雨が降った後は地盤が緩みやすいため、十分な注意が必要です。
地下水への対策も重要です。掘削場所に水が湧き出してくる場合は、ポンプで水を汲み上げたり、地盤を固める処理を行ったりします。また、近くの建物や道路に影響が出ないよう、地盤の変形を測定機器で常に監視します。
掘削機械
掘削には様々な機械が使われます。小規模な工事では小型の掘削機を使い、大規模な工事では大型の重機を使います。地盤が固い場合は大きな力が出せる機械を、狭い場所では小回りの利く機械を選びます。
掘削機械を選ぶ際は、土の硬さ、掘削の深さ、現場の広さ、周辺への影響などを考慮します。また、機械の重さによって地盤が影響を受けることもあるため、地盤の強さも考慮に入れます。
掘削の法規制
掘削工事には様々な法律による規制があります。労働安全衛生法では、深さ2メートル以上の掘削には土留め支保工の設置が必要と定められています。また、一定規模以上の掘削では、工事の計画を行政に届け出る必要があります。
作業員の安全を確保するため、掘削面の高さが2メートルを超える場合は、昇降設備の設置が義務付けられています。また、掘削場所の周囲には転落防止用の囲いを設けることも必要です。