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六価クロム(Cr6+)とは?地盤調査における重要性と基準値
六価クロムの基本情報
六価クロムとは、金属のクロムが特定の形になったものです。クロムは自然界に存在する金属で、さまざまな形(価数)をとることができます。「六価」というのは、クロムがとても活発な状態にあることを表しています。記号では「Cr6+」と書きます。
六価クロムは自然の中にも少量存在していますが、主に工場や人間の活動によって作られます。特にめっき工場、皮なめし工場、鉄鋼業などで多く使われてきました。
六価クロムと地盤汚染
地盤(土の中)に六価クロムが見つかる主な理由は、昔の工場からの漏れや廃棄物の不適切な処理によるものです。工場が閉鎖された後も、土の中に長く残ることがあります。
六価クロムは水に溶けやすい性質があり、雨が降ると地下水に混ざって広がることがあります。そのため、一か所の汚染が広い範囲に影響することもあるのです。
健康・環境への影響
六価クロムは人の健康に悪影響を与える可能性があります。皮膚に触れると炎症を起こしたり、長期間吸い込むと鼻や喉、肺に問題を起こしたりする恐れがあります。また、飲み水に混ざると胃の問題を引き起こすこともあります。
自然環境でも、水中の生き物や植物に悪影響を与えることがわかっています。そのため、土や水の中の六価クロムの量を調べることはとても大切です。
法的規制と基準値
日本では「土壌汚染対策法」という法律で、土の中の六価クロムの量を厳しく管理しています。この法律では、六価クロムが一定量を超えると対策が必要になります。
区分 | 基準値 | 説明 |
---|---|---|
溶出量基準 | 0.05 mg/L以下 | 土から水に溶け出す量の基準 |
含有量基準 | 250 mg/kg以下 | 土に含まれる総量の基準 |
調査・検出方法
地盤の六価クロム調査では、まず土を採取します。その後、研究所で特別な薬品を使って検査します。主に次のような方法で調べます:
- 溶出量試験:土を水に溶かして、水に溶け出す六価クロムの量を測定
- 含有量試験:土に含まれる六価クロムの総量を測定
これらの検査は専門の機械を使って行われ、とても小さな量でも見つけることができます。
対策・処理技術
土の中から六価クロムが見つかった場合、いくつかの方法で処理することができます。主な方法は以下の通りです。
最も一般的なのは「還元処理」という方法で、特別な薬品を使って六価クロムを毒性の低い三価クロムに変える方法です。他にも、汚染された土を掘り出して別の場所で処理したり、コンクリートなどで固めて動かないようにする方法もあります。
どの方法を選ぶかは、汚染の程度や場所の条件によって専門家が判断します。近年は環境にやさしい微生物を使った処理方法も研究されています。