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鉄筋コンクリート

鉄筋コンクリートとは

鉄筋コンクリートとは、コンクリートの中に鉄の棒(鉄筋)を入れて補強した建築材料です。コンクリートは圧縮力(押す力)に強いですが、引張力(引っ張る力)に弱いという特性があります。そこで、引張力に強い鉄筋をコンクリートの中に埋め込むことで、お互いの弱点を補い合い、強くて丈夫な構造物を作ることができます。

鉄筋コンクリートの原理は、コンクリートと鉄筋が一体となって力を分担することにあります。例えば、建物に重さがかかると、上部は圧縮され、下部は引っ張られます。このとき、圧縮される部分はコンクリートが力を受け持ち、引っ張られる部分は鉄筋が力を受け持ちます。また、コンクリートは鉄筋を包み込むことで、鉄筋が錆びるのを防ぐ役割も果たしています。

鉄筋コンクリートの歴史は19世紀後半にさかのぼります。1867年、フランスの庭師であるジョセフ・モニエが、植木鉢をより丈夫にするために金網を埋め込んだセメントを使用したのが始まりとされています。その後、1892年にフランソワ・エネビクが鉄筋コンクリートの理論を確立し、建築や土木の分野で本格的に使用されるようになりました。日本では明治時代後期から使われ始め、1923年の関東大震災後に耐震性の高い建築材料として急速に普及しました。現在では、世界中の建物や橋、ダムなどの構造物に広く使用されています。

鉄筋コンクリートの構成要素

鉄筋コンクリートは主にコンクリートと鉄筋の2つの材料から構成されていますが、それぞれが重要な役割を担っています。

コンクリートは、セメント、砂、砂利(骨材)、水を混ぜ合わせて作られます。セメントと水が化学反応を起こして固まる性質を利用しており、その強度や耐久性は配合比率や材料の品質によって変わります。コンクリートの主な役割は圧縮力に耐えることと、内部の鉄筋を保護することです。また、コンクリートは火に強く、熱を伝えにくい特性もあります。しかし、引っ張る力に弱く、重さがかかると割れやすいという弱点があります。

鉄筋は、コンクリート内部に配置される鋼鉄の棒で、主に引張力を受け持つ役割があります。鉄筋には様々な種類があり、表面の形状によって「丸鋼」「異形鉄筋」などに分けられます。現在は表面に凹凸がある異形鉄筋が主に使われており、これによってコンクリートとの付着力が高まります。また、太さによっても分類され、直径が太いほど強度が増します。一般的には、柱や梁などの主要な部分には太い鉄筋(主筋)が使われ、それらを補強するために細い鉄筋(帯筋やスターラップ)が使われます。

その他の補強材としては、鉄筋を格子状に組んだ「ワイヤーメッシュ」や、コンクリート内に分散して混ぜる「鋼繊維」などがあります。また、コンクリートの品質を向上させるための添加物として、「高性能減水剤」(流動性を高める)、「AE剤」(空気を含ませて凍結融解に強くする)、「防錆剤」(鉄筋の錆びを防ぐ)などが使用されることもあります。これらの補強材や添加物は、建物の用途や環境条件に応じて選択されます。

鉄筋コンクリートの強度と性能

鉄筋コンクリートの強度は、主に圧縮強度と引張強度の2つの観点から評価されます。

圧縮強度は、コンクリートが押す力にどれだけ耐えられるかを示す指標で、鉄筋コンクリートの最も重要な特性の一つです。一般的な建築物では、コンクリートの圧縮強度は1平方センチメートルあたり21〜36ニュートン(21〜36N/mm²)程度です。この強度は、使用するセメントの種類、水とセメントの比率(水セメント比)、骨材の品質、養生条件などによって変わります。特に水セメント比は重要で、この値が小さいほど高強度になりますが、流動性が低下して施工が難しくなるという特性もあります。

引張強度は、コンクリートが引っ張る力にどれだけ耐えられるかを示す指標です。コンクリート単体の引張強度は圧縮強度の約1/10程度と非常に小さいのですが、鉄筋を配置することで大幅に向上します。鉄の引張強度はコンクリートの100倍以上あるため、適切に配筋された鉄筋コンクリートは、曲げや引っ張りにも強い構造体となります。

耐久性と耐用年数については、適切に設計・施工された鉄筋コンクリート構造物は50〜100年以上の耐用年数を持つとされています。しかし、環境条件や維持管理の状態によって大きく変わります。例えば、海岸近くでは塩害によって鉄筋が錆びやすくなりますし、凍結と融解を繰り返す地域では劣化が早まることがあります。また、酸性雨や二酸化炭素による中性化(コンクリートがアルカリ性から中性に変化する現象)も、鉄筋の腐食を促進する要因です。

耐火性と断熱性も鉄筋コンクリートの重要な特性です。コンクリートは不燃材料であり、熱の伝導率が低いため、火災時に内部の温度上昇を遅らせる効果があります。一般的な鉄筋コンクリート壁であれば、1〜2時間の耐火性能を持ちます。ただし、高温が長時間続くと、コンクリートの内部で水蒸気圧が高まり、爆裂(コンクリートが破裂する現象)が起きることもあります。断熱性については、コンクリート自体はそれほど高くないため、寒冷地では断熱材を併用することが一般的です。

鉄筋コンクリートの施工方法

鉄筋コンクリートの施工は、型枠の準備、鉄筋の組み立てと配筋、コンクリート打設と養生の順に進められます。

型枠(かたわく)とは、コンクリートを流し込むための枠のことで、コンクリートが固まるまでの間、形を保持する役割があります。かつては木製の型枠が主流でしたが、現在では鋼製やアルミ製、合板製など様々な材料が使われています。型枠は正確な寸法で組み立てられ、コンクリートの重さや圧力に耐えられるよう強固に固定されます。また、型枠の内側には剥離剤(はくりざい)と呼ばれる油などを塗り、コンクリートが固まった後に型枠が簡単に外れるようにします。

鉄筋の組み立てと配筋は、建物の構造計算に基づいて行われます。まず、設計図に従って鉄筋を必要な長さに切断し、必要に応じて曲げ加工を施します。その後、柱や梁などの部材ごとに組み立て、結束線(けっそくせん)という針金で結びつけていきます。鉄筋とコンクリートの間には適切な間隔(かぶり厚さ)を確保するため、スペーサーと呼ばれる部品を使用します。このかぶり厚さは鉄筋の防錆や耐火性を確保するために重要で、一般的には3〜5cm程度確保します。配筋が完了すると、監理者による検査が行われます。

コンクリート打設とは、練り混ぜたコンクリートを型枠内に流し込む工程です。コンクリートは生コン工場から運ばれてきたものを使用することが多く、ポンプ車や生コン車から直接型枠内に流し込みます。打設の際には、コンクリート内の空気を抜くために、棒状の機械(バイブレーター)で振動を与えながら流し込みます。これを「締固め」と呼び、コンクリートの強度を確保するための重要な作業です。コンクリートは一度に大量に打設するのではなく、高さ方向に分けて少しずつ打設していきます。

養生(ようじょう)とは、コンクリートを適切な環境で硬化させる工程です。コンクリートは水とセメントの化学反応(水和反応)によって徐々に硬化していきますが、この反応には水分が必要です。そのため、コンクリートが乾燥しないように、表面に水を散布したり、シートで覆ったりします。また、気温が低い時期には、コンクリートが凍結しないよう保温材で覆うなどの対策も行います。養生期間は気温や使用するセメントの種類によって異なりますが、一般的には1〜2週間程度です。養生が終わると型枠を取り外し(脱型)、必要に応じて表面の仕上げ作業を行います。

鉄筋コンクリートの種類

鉄筋コンクリートには、使用目的や構造特性によって様々な種類があります。

鉄筋コンクリート造(RC造)は、最も一般的な鉄筋コンクリートの構造形式です。コンクリート内部に鉄筋を配置し、両者が一体となって力を負担する構造です。主に中低層の建築物(住宅、マンション、学校など)に使用され、耐火性、遮音性、耐久性に優れています。また、形状の自由度が高く、設計の自由度も大きいという特徴があります。ただし、建物が大きくなると自重が増すため、高層建築には適さないこともあります。

鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)は、鉄筋コンクリートの中に鉄骨を組み込んだ構造です。鉄骨が主に圧縮力と引張力を負担し、その周囲のコンクリートと鉄筋が補強と保護の役割を果たします。RC造よりもさらに強度が高く、高層建築や大スパン(柱と柱の間隔が広い)の建物に適しています。デパートやホテル、オフィスビルなどに多く使用されています。ただし、構造が複雑になるため、施工コストと工期が増加するという側面もあります。

プレストレストコンクリート(PC)は、あらかじめコンクリートに圧縮力を加えておく特殊な工法です。具体的には、高強度の鋼材(PC鋼材)をコンクリート内に通し、その鋼材を引っ張った状態でコンクリートに定着させます。これにより、コンクリートには常に圧縮力がかかった状態となり、外部からの引張力に対する抵抗力が大幅に向上します。PCには、工場で製作する「プレキャストPC」と、現場で製作する「場所打ちPC」があります。橋梁やスタジアムの屋根、長いスパンの床など、大きな力がかかる構造物に使用されます。

種類 特徴 主な用途 メリット デメリット
鉄筋コンクリート造
(RC造)
コンクリート内に鉄筋を配置した一般的な構造 住宅、学校、中低層マンションなど 耐火性が高い
遮音性に優れる
形状の自由度が高い
自重が大きい
工期が長い
改修が難しい
鉄骨鉄筋コンクリート造
(SRC造)
鉄筋コンクリートに鉄骨を組み込んだ構造 高層ビル、デパート、ホテルなど 強度が非常に高い
大スパンに対応可能
耐震性に優れる
コストが高い
構造が複雑
重量が大きい
プレストレストコンクリート
(PC)
鋼材で引っ張り、コンクリートに圧縮力を与えた構造 橋梁、スタジアム、大型工場など ひび割れが少ない
スパンを長くできる
部材を薄くできる
技術的難度が高い
専門的な知識が必要
初期コストが高い

鉄筋コンクリートの用途

鉄筋コンクリートは、その優れた強度と耐久性から、建築物から土木構造物まで幅広い分野で使用されています。

建築物での利用としては、住宅、マンション、オフィスビル、学校、病院、ホテルなど、あらゆる種類の建物に使われています。特に耐火性や耐久性が求められる建物には不可欠な材料です。日本のような地震が多い国では、耐震性能が高い鉄筋コンクリートは重要な建築材料となっています。建物の基礎、柱、梁、床、壁などの構造部材だけでなく、階段や手すり、ベランダなどの二次部材にも使用されます。また、高層ビルでは、鉄骨と組み合わせたSRC造が採用されることも多く、超高層ビルの場合は、中央部の「コア」と呼ばれる部分に鉄筋コンクリートが使われ、建物全体の剛性(かたさ)を高める役割を果たしています。

土木構造物での利用も非常に広範囲です。道路や鉄道の橋梁、トンネル、ダム、防波堤、護岸工事、水路、貯水槽、下水道施設など、社会インフラの多くが鉄筋コンクリートで作られています。これらの構造物は屋外に設置されることが多く、風雨や塩害などの厳しい環境にさらされるため、耐久性の高い鉄筋コンクリートが適しています。また、大きな荷重がかかる構造物や、水圧に耐える必要がある構造物にも広く使用されています。例えば、ダムでは水の圧力に耐えるために大量の鉄筋コンクリートが使用され、その形状や鉄筋の配置は複雑な計算に基づいて設計されています。

特殊環境下での利用も鉄筋コンクリートの重要な用途です。例えば、原子力発電所の格納容器には、放射線を遮蔽する目的で厚さ数メートルの鉄筋コンクリートが使用されます。また、化学プラントなど腐食性の物質を扱う施設では、特殊な添加物を混ぜた耐薬品性の高いコンクリートが使われることもあります。海洋構造物(沖合の石油掘削プラットフォームなど)では、塩害に強い配合のコンクリートや、特殊な防錆処理を施した鉄筋が使用されます。さらに、極寒地や高温地域など、極端な気象条件下でも使用できるよう、凍結融解に強いコンクリートや、高温に耐えるコンクリートなど、環境に応じた特殊なコンクリートが開発されています。

鉄筋コンクリートのメンテナンス

鉄筋コンクリートは非常に丈夫な材料ですが、長い年月の間には様々な要因によって劣化していきます。適切なメンテナンスを行うことで、構造物の寿命を延ばし、安全性を確保することができます。

経年劣化のメカニズムとしては、主に以下のようなものがあります。まず、「中性化」と呼ばれる現象があります。新しいコンクリートは強いアルカリ性で、この性質が内部の鉄筋を錆びから守っています。しかし、時間が経つにつれて空気中の二酸化炭素と反応し、徐々に中性に変化していきます。中性化が鉄筋の位置まで進むと、鉄筋が錆びやすくなります。また、「塩害」も重要な劣化要因です。海岸近くの建物や、冬に凍結防止剤が散布される地域では、塩分がコンクリート内部に侵入し、鉄筋の腐食を促進します。さらに、寒冷地では「凍害」が問題になります。コンクリート内部の水分が凍結と融解を繰り返すことで、膨張と収縮が起こり、ひび割れの原因となります。

代表的な劣化現象としては、「ひび割れ」「剥離(はくり)」「鉄筋の露出と腐食」「エフロレッセンス(白い粉の析出)」などがあります。ひび割れは、荷重による応力、乾燥収縮、熱膨張、凍結融解などによって発生します。幅が0.2mm以下の小さなひび割れは構造上の問題はないことが多いですが、それ以上の大きなひび割れは注意が必要です。剥離は、コンクリートの表面が剥がれ落ちる現象で、内部の鉄筋が錆びて膨張することが主な原因です。鉄筋が露出すると急速に腐食が進み、構造物の強度が低下します。エフロレッセンスは、コンクリート内部の水に溶けた成分が表面に出てきて白く結晶化する現象で、見た目の問題だけでなく、内部の劣化のサインでもあります。

点検と補修の方法は、劣化の程度によって異なります。定期的な点検では、目視によるひび割れや剥離の確認、打音検査(ハンマーで叩いて音で内部の状態を判断)、コンクリートの中性化深さの測定などが行われます。軽微な劣化の場合は、表面処理(防水塗装やシーリング)で対応することもありますが、深刻な劣化の場合は、損傷部分を取り除いて新しいコンクリートで補修する「断面修復」が必要になります。鉄筋が腐食している場合は、腐食した部分を除去し、新しい鉄筋を追加したり、防錆処理を施したりします。また、コンクリート内部の鉄筋の腐食を電気的に抑制する「電気防食」という方法もあります。近年では、炭素繊維シートや繊維強化プラスチックを使った補強方法も普及しています。これらの補修・補強工事は、構造物の重要度や劣化の程度に応じて選択されます。

鉄筋コンクリートの将来展望

鉄筋コンクリートは現代の建設に不可欠な材料ですが、環境問題や技術革新に伴い、様々な課題や新たな可能性に直面しています。

環境負荷と持続可能性については、特にセメント製造時の二酸化炭素排出が大きな課題です。セメント1トンの製造で約800キログラムの二酸化炭素が排出されると言われており、世界のセメント産業は全二酸化炭素排出量の約8%を占めています。この問題に対応するため、二酸化炭素排出量の少ない「低炭素セメント」や、産業副産物を活用した「エコセメント」の開発が進んでいます。また、コンクリートのリサイクルも重要な課題です。解体されたコンクリートは砕いて「再生骨材」として再利用することが可能で、この技術はさらに発展が期待されています。さらに、コンクリートは時間とともに二酸化炭素を吸収する「炭酸化」という性質もあり、この性質を積極的に活用した「CO2吸収型コンクリート」の研究も進んでいます。

新しい技術と材料開発も活発に行われています。例えば、従来のコンクリートよりも強度が3〜10倍ある「超高強度コンクリート」や、繊維を混入して靭性(粘り強さ)を高めた「繊維補強コンクリート」が実用化されています。また、自己修復機能を持つコンクリートの開発も進んでおり、これはひび割れが生じると内部に含まれる特殊な成分が反応して、自動的にひび割れを埋める技術です。鉄筋の代替としては、錆びないステンレス鋼や炭素繊維強化プラスチック(CFRP)、アラミド繊維、ガラス繊維などの非金属材料の使用も増えています。さらに、コンクリートの打設技術にも革新が見られ、「自己充填コンクリート」は流動性が高く、振動締固めなしでも隅々まで行き渡る特性を持っています。3Dプリンティング技術を使ったコンクリート構造物の製作も実験段階から実用フェーズに入りつつあります。

建築基準の変化と対応も重要な課題です。近年、大地震や気候変動による災害の増加に伴い、より高い耐震性や耐久性が求められるようになっています。日本では、1995年の阪神・淡路大震災や2011年の東日本大震災の経験から、建築基準法が改正され、より厳しい耐震基準が設けられました。また、劣化対策や長寿命化に関する基準も強化されています。世界的には、環境負荷を考慮した「グリーンビルディング」の認証制度が普及し、建材としてのコンクリートにも環境性能が求められるようになっています。これらの変化に対応するため、鉄筋コンクリート業界では、新たな設計手法や施工技術、耐久性向上技術などの開発が進められています。将来的には、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)を活用した「スマートコンクリート」も実現するかもしれません。これは、センサーを内蔵したコンクリートで、構造物の状態をリアルタイムでモニタリングし、異常を早期に検知するというものです。

  • 環境に配慮した取り組み
    • 低炭素セメントの開発と普及
    • コンクリート廃材のリサイクル推進
    • CO2吸収型コンクリートの研究
    • 長寿命化技術による資源節約
  • 新材料と新技術の開発
    • 超高強度・高性能コンクリートの実用化
    • 自己修復コンクリートの開発
    • 非金属補強材の活用
    • 3Dプリンティング技術の応用

これらの技術革新と環境への配慮が進むことで、鉄筋コンクリートは今後も建設分野の主要材料として進化を続けていくでしょう。伝統的な技術と新しい技術を融合させることで、より安全で持続可能な社会インフラの構築に貢献することが期待されています。

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